東京行きのメインイベント1発目は石野田奈津代の
ワンマンです。ちょうど明日のヒメノワンマンと
合わせれば行けるじゃないか、と思ってて。
そういえば「今年最初で最後のワンマン」なんて
言ってたことをすっかり忘れていたのですが、その
意味なんかも含めると最近の動きが「集大成」だったん
だなあ。

まず生音からはじまり、「これはまたいつもと違うのかな」
なんて思いながらはじまります。とはいえ、このときは
このあとに何が出てくるかはまったく想像できていません
でした。

今日のライブタイトルで、3カ月連続リリースを
行ったアルバムのタイトルでもある「スターオリンピア302」
というのが、いしのだが15年間住んでいたマンションの
名前なんだそうです。そしてそのCDはその部屋で録音を
したそうで、今回のライブセットはなんとその部屋を
再現したものでした。「部屋の中で歌っている雰囲気を
作りたかった」そうで、なんかピアノ曲でトチった
ところもあわせていい雰囲気ができてましたね。

そして、今回は「余興」がありまして。中盤あたりで
「いしのだの部屋にあるMDをかけるコーナー」がありました。
確か10年前に作って今回のアルバムに入れた曲のデモと、
今回のCDを作るにあたってのNG集と、あと二十歳の
誕生日にあったANNの録音MD、だったかな。あれ、
あとテープもあったっけ。特にANNの録音テープは
そのころの「いしのだなつよ」がよく出ていて、まあ
はっちゃけてましたね。「今ではもうできない」なんて
言ってましたが。

そして、個人的に今回最大の失敗は、アルバム自体を
なぜかベストだと思っていた節があり、そのために
まだ買っていなかったことです。正直「ベストなんだし
ほとんど知ってるよね」って思ってましたが、ふたを
開ければ知ってる曲が7割くらいしかありませんでした。
やっぱり、レコ発はちゃんとCD買って聴いておかないと
ダメですね。

ただ、それだけに「どんな曲だろう」という楽しみは
大きかったです。前にも書いたっけな、いしのだの曲って
「きみ」ということばが出たときにはその対象が具体的に
あることが多くて、そのなかで「この『きみ』は誰かなあ」
なんて想像するのが楽しかったりするのです。今日はMCも
けっこうあってその中で曲解説もあったので、いくつかは
「種明かし」をしてくれてましたっけ。

そんななかで時間は過ぎていくのですが、実は「なんだか
時間の流れがゆっくりしてるなあ」と思っていたのです。
それもそのはず、最終的には3時間以上のステージになって
いました。確かに「余興」があったけど、それでもここまで
あるとは思っていなかったのです。2時間くらいかなあ、
なんて漠然と考えてて、はじめは正直「あそこハシゴできたなあ」
なんて考えていたくらい。

それでもすべてが濃密な時間で、ゆっくりと、でも確実に
時間は流れていきます。どうなんだろうな、あのときには
その「予兆」に気づいていなかったし、いま考えてもそんな
気配はなかったような。

そんななか、最後のMCで、先ほども書いていた「今年最初で
最後のリサイタル」という意味がわかります。いしのだ自身の
ことばで言えば、「リセットしようと思っている」そうです。
「これまで14年、今年15年目になっているけど、それを
続けていいんだろうか、と思うようになった」とも言ってたかな。

正直石野田奈津代という存在が「歌うために生まれてきた」
んじゃないかな、と思っているので、またどこかで会うことが
できると信じてて。ちょっとお休みしてしまうのは悲しいけど、
また絶対に戻ってきてくれると今は信じています。15周年を目前に
そんな形になってしまうのがなんか「らしい」気もするし、
また見たときにはいままでとは違ういしのだになっているだろうし。
いろいろ悲観することもできるけど、今は「こんど会うときに
いしのだはどんな感じになっているんだろう」ということを楽しみに
しておこうと思います。いままでも乗り越えてきたんだもの、
きっと大丈夫だよね。

そう、それを知ってから考えると、今回のCD発売も、このライブで
たくさん歌ってくれたことも、石野田奈津代というアーティストの
「集大成」を見せようとしていたのかな、なんて考えています。
でも、これが終わりじゃないと思ってるし、また新しい世界を見せて
くれると思っているから、ね。